お月見の由来や意味を再確認してみよう
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こんにちは、暦のお茶 烏兎です。
ここのところすっかり秋らしくなってきましたが、「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉通りですね。
週末からの連休で行楽や自宅でのんびり過ごされている方も多いかと思いますが、明日は秋分の日です。お彼岸はお中日となり、暦では秋の社日とも重なっていますので、ご先祖さまや農作物の収穫に感謝して過ごせる一日になるといいですね。
といっても、烏兎さんなどは「ありがたいありがたい」と思いながらお茶を飲むくらいですが(^^;)
さて、8月の終わりから秋のお月見シーズンについて、機会があるたびにお伝えしてまいりましたが、いよいよ来週は十五夜です。
今のところ天気予報では関東は晴れになっていますが、秋の空は変わりやすいものですから、晴れてお月見ができることを祈りつつ、せっかくなので今日は十五夜について、改めてお伝えしたいと思います。
お月見の由来や意味を再確認してみよう
もともと、お月見という行事は中国の中秋節に由来します。
中秋節は東アジア全般に見られる行事なのですが、やはり中国が大々的で、宋の時代からある春節に並ぶ大きな行事のひとつです。
(8月のお月見自体はそれ以前より楽しまれていました)
中国ではこの時期、お団子ではなく月餅を食べますが、月餅は名前の通りもともと月に見立てた食べ物です。
地域によって模様や中身に違いがあるのも面白いですね。
皆さまは月餅はお好きでしょうか?
烏兎さんはもともと甘いものが苦手で、大人になってようやく餡子が食べられるようになったくらいなので、月餅など未だ敷居が高く苦手意識があるのですが・・・(◎_◎;)
お月見の歴史
さて、月を愛でる習慣というのは国や季節に関わらず、日本では古く縄文時代から行われていました。
この時期の月は一年でもっとも美しく見えるといわれていますが、大気汚染のない時代は、なおさらだったでしょうね。
そんな月を愛でる風習が、八月十五夜の月を楽しむお月見行事として定着したのは、さきほど書いたように中国の中秋節から伝わり、日本の貴族の間で流行してからのことです。
それから徐々に庶民の間に広まっていき、だいたいこういう行事的なものが一般化していくのは江戸時代になってからですが、江戸時代は世界でも類を見ない長続きした平和な時代といわれていて、今も行われている多くの行事は、江戸時代に各地に広がっています。
お月見のお供え
江戸時代初期に庶民の間に広まったというお月見。
ただ、まだこのころはお月見にはお団子ではなく里芋を食べていたようです。
これはこの時期、東アジア全体に里芋の収穫を祝う地域が多く、日本でもお月見が始まる前からこの日は芋煮を食べていたことに由来します。
そのため、十五夜のお月見を別名、芋名月と呼んだりしますね。
ぜひぜひ、十五夜の晩には芋煮を作って召し上がっていただけたらと思います。
お供え物として現在はお月見団子を用いる地域が多いようですが、お月見団子は月を模したものというほかに、里芋の代用だったり、里芋に似せたものを備えるためという説があります。
そのほかのお供え物としては、収穫を祝う行事ですので旬の農作物ならなんでも構いません。
ぜひいろいろな秋の実りを楽しみましょう。
ススキは神様の依り代、子供たちは月からの使者
また、ススキを一緒に供えるのは稲穂に見立てて祀る理由のほか、ススキは茎に神様が宿る、神様の依り代であるためと考えられています。
そのため、ススキは魔除であり、災いを遠ざけるといわれています。
ですので、収穫物を保管する蔵や田畑に飾られることもありますし、もちろんおうちの玄関に飾るのも、とてもよいと思います。
玄関といえば「お月見泥棒」という行事をご存知でしょうか?
お月見泥棒とはお月見の日に、子供たちがお月見団子などのお供え物を盗んでもいいという遊びで、この和製ハロウィンのようなイベントは、なんと江戸時代からあります。
お月見泥棒が有名な地域は愛知県の日進市と名古屋市、それから三重県四日市市などですが、福島や山梨、鹿児島、沖縄など、全国各地で行われている地域があるようですよ。
古くは釣り糸などにひっかけてお団子を盗っていたそうですが、現在は各家庭の玄関前やお店などにお月見泥棒用にお菓子が用意してあるそうです。
子供たちは月からの使いの者とされていて、お菓子が減るだけ縁起がよいのだとか。
お月見の行事と一緒に、全国に普及したら楽しそうですね。
今年の十五夜は10月1日
さて、そんなお月見の日にちは、今年は10月1日です。
これは、旧暦の8月15日に該当する日になります。
十五夜の別名を「中秋の名月」ともいいますね。
「仲秋の名月」と書くこともありますが、「中秋の名月」と「仲秋の名月」は意味が異なります。
中秋の名月と仲秋の名月の違い
仲秋とは、秋の季節である7月から9月までを初秋、仲秋、晩秋と分けたと真ん中のことで、具体的には8月のことを指します。
そのため「仲秋の名月」と呼ぶと、8月に上る月すべてが対象となるわけですね。
そのような意味で「仲秋の名月」という言葉が使われます。
ちなみに今年の仲秋の期間(旧暦8月)は9月17日から10月16日までです。
この期間の月はすべて、仲秋の名月と呼んで差し支えないわけですね。
一方、「中秋」とは、同じく初秋(7月)から晩秋(8月)までのちょうど真ん中にあたる8月15日のことですので、8月15日(旧暦)の月を指すのは「中秋の名月」が正しくなります。
お天気が悪くても大丈夫
先ほども書いたようにお天気が気になるところですが、もしも雲が出て月が隠れたら、その月は「無月(むげつ)」と呼ばれ、また雨が降って月が見えなくてもその時は月を「雨月(うげつ)」と呼んでお月見を楽しみます。
あいにくのお天気となってしまっても、ちゃんと楽しむ道を用意してあるところが粋ですね。
二番目のお月見「後の月」(10月29日)
先ほどお月見は中国から由来したものとお伝えしましたが、粋な日本人はそれだけでは終わりません。
まだまだ月見を楽しみたいこの時期、九月十三夜の月見を「後の月(のちのつき)」と呼んで楽しむことにしました。
後の月は別名を豆名月、栗名月とも呼ばれ、この時期に美味しい豆や栗を楽しみます。
十五夜と十三夜、両方見ないと縁起が悪い
十五夜の月見と十三夜の月見は江戸時代からセットになっていて、どちらか一方しか見ないことを「片月見(または片見月)」と呼んで縁起がよくないとされていました。
江戸時代当時、遊女さんたちが十五夜に来たお客さんを十三夜にも呼ぶ方法として生み出されたといわれていますが、それも十五夜の月を楽しんだら、十三夜の月も楽しもうというという江戸っ子の粋さがあってこそのこと。
十三夜は日本だけの風習ですので、ここは江戸っ子の気持ちになって、十三夜の月見も楽しんでいただけたらと思います。
今年の十三夜は10月29日です。
三番目のお月見「十日夜」(11月24日)
さて、まだまだこれだけではお月見は終わりません。
翌月には「三の月」というものが訪れます。
三の月は旧暦10月10日に行われる、「十日夜(とおかんや、とおかや)」という農耕行事です。
この日は稲刈りも終え、田の神様が山に帰る日といわれています。
この行事は東日本特有のもので、西日本ではこの時期に行われる亥の子という行事にあたります。
東日本でも地域によって行われる内容が違っていて、十五夜のお月見と同じく月にお供えをするところもあれば、稲刈りが終わった後の藁で地面を叩きながら子供たちが歌ったり、長野では田畑を守ってくれた案山子を下げ、お供えをして祀ったりします。
東日本でも西日本でも、十日夜は収穫を終えたお祝いや翌年の豊作を願う行事となっていて、この日をもって神様も案山子も人々も、お疲れさまと一区切りつけるのですね。
そしてまた、お月見には月に感謝するという意味もあります。
農業でいえば毎日姿の変わらない太陽よりも、同じサイクルで満ち欠けを繰り返す月を目安にする方がわかりやすかったのですから、当たり前と言えば当たり前のことかもしれません。
今年の十日夜は11月24日です。
月が与える影響
中秋の名月から始まり、このように月にお供えをして楽しむ行事は、ひとつには娯楽の少ない時代、秋の夜長の楽しむためということもあったかと思います。
しかし、何よりも月は太陽と同じように、たくさんの命に影響を与えています。
以前ガーデニングプランナーの小島理恵さんという方が書かれたこちらの記事を読ませていただき、とても感銘を受けたのですが、私も自然界のあらゆるものは、太陽だけでなく月とも同調していると思います。
月の満ち欠けと植物の関係 〜満月に収穫した野菜が美味しい理由
陰陽でいえば月は陰に属します。
そのためか、月の影響は目に見えず、意識することは難しいかもしれません。
ですが、月の力は、人の身体でも必ず働いています。
特に女性はその影響を受けやすく(陰陽では女性が陰の性質を持っているからかもしれません)、月と同調しながら体を整えていくのはともて大切なことです。
先の記事で小島理恵さんは目の前で起きている現象だけでなく、見えない部分にも意識を向けて、野菜や植物と向き合う
と書いておられましたが、当店もお茶を作るにあたり、この「見えない部分」をとても大切にしています。
暦からお客様に良い日を選んでお茶をお作りするのもそうですし、どんな環境で、どんな気持ちでブレンドをお作りするかもとても気を付けています。
当店のお茶の感想として、「優しいお茶」という言葉を思いがけずいただくことがあります。
「美味しい」と思うよりも先に、そのような印象を受けるのだそうです。
「優しい味」というのはありそうですが、「優しいお茶」と思っていただけるのは、なかなかないのではないかと思います。
また「幸せを感じる」と、こちらもお茶の感想としてはめったにいただけないのではないかと思う感想をいただくこともあります。
本当にありがたいことで、それは当店が目に見えないものを大切にし、そしてそれ以上に、お客さまがそれを受け取ってくださるからこそと思います。
逆に、よくない気持ちやいい加減な状態で作ったものは必ずお客様に伝わると考えて、つねに襟を正す思いです。
今年の夏はとても暑く、また感染の危機とマスク着用の毎日は、気が休まるときがなかったのではないでしょうか。
コロナも少し落ち着いてきたここ最近は、緊張と夏の疲れ(無意識の疲労)が出る時期でもあります。
一年の流れの中でも特に月を強く意識するこの時期、お月見のイベントを楽しみながら、その傍らでご自身のお身体を丁寧に整えてもらえたらと思います。
太陽に比べて、月の灯りはどれほど明るく差しても辛くありません。
その光は優しく、温かみを湛えています。
そんな月を司る神様の名前をいただいた月夜見茶は、十日夜前の11月22日まで販売です。
月の影響を受けやすい女性の体に合わせたお茶ですので、機会あればお試しください。
長くなりましたが、本日の記事をお楽しみいただけていたら幸いです。
ありがとうございました。
暦のお茶 烏兎
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