枳殻はとっても苦いのですが、気を流してくれます
毎度ゆっくり更新しております。
烏兎の素材紹介のコーナー、第6弾は枳殻です。
枳殻はとっても苦いのですが、気を流してくれます
枳殻(キコク)という素材、クコの実やナツメに比べたらあまり聞いたことがないかもしれませんね。
枳殻はミカン科の植物で、ダイダイや夏みかんなどのミカン属の成熟間近の果実を乾燥したものです。
(※烏兎でお茶に使っているのは八朔の果実です)
枳殻の仲間には枳実(キジツ)があって、枳殻が成熟間近な果実であるのに対し、枳実は未成熟な状態の果実が使われています。
しかし、ウチダ和漢薬の『生薬の玉手箱』によれば、枳殻と枳実は同じように使ってもよいものだそうですよ。
・・・枳実はただ下を治すだけでなく,枳殻も高いところを治する
だけではない。そもそも口から肛門までみな肺が主り,三焦相通じて
一気であることを思えば,枳実と枳殻は分けても分けなくてもよい」
と記しており,両薬物を厳密に使いわける必要はなさそうです。
株式会社ウチダ和漢薬 https://www.uchidawakanyaku.co.jp/tamatebako/shoyaku_s.html?page=017
日常生活では完熟した果実を果実酒にするくらいで、あまり身近な素材ではないと思うのですが、枳殻も枳実も漢方薬にはよく用いられますので、漢方薬に詳しい方ならよくご存知の素材かもしれません。
枳殻の漢方での性質はこのようなものです。
- 五味:辛・苦
- 五性:微寒
- 帰経:脾・胃
その効果ですが、枳殻は「理気」といって気の巡りを整えてくれる作用があり、気滞の症状に適しています。
気滞といっても原因は様々で、お客様の状態によってなんの素材を用いるか変わってきますが、枳殻の得意分野はストレスが原因になっている胃の不調です。
五行でいうと肝でストレスを受け、相克関係の脾胃を弱めるため、ストレスから胃腸の不調が出るのは理にかなっています。
肝が司る春の季節に胃腸が弱りやすいのは、そんな五行の関係があるからなのですね。
ただ、実はこの枳殻、とっても苦いのです(>_<)
当店が使っているの八朔の果実ももちろんかなりの苦味があります。
この苦味がすごく好きだという方もいるのですが、人によってはぜんぜん飲めないという方も。
どれだけ苦いか・・・興味のある方はぜひ枳殻を手に入れて試してみてくださいな。
今日の素材紹介は枳殻についてお送りしました。
次の素材も、楽しみにしていてくださいな。
最後までお読みいただき、ありがとうございました
烏兎