万能香草、薄荷のはなし
ゆるゆると更新しております、烏兎の素材紹介コーナー、本日ご紹介するのは第21弾、薄荷です。
ミント系のハーブはお菓子から生活用品、医療品まで幅広く使われているとても身近な素材です。
今日はそんな、身近で万能な薄荷のおはなしをさせていただきます。
万能香草、薄荷のはなし
薄荷(ハッカ)は数百種類あるミントの仲間のひとつで、シソ科ハッカ属の多年草です。
ミントには大きく分けるとペパーミント(セイヨウハッカ)とスペアミント(ミドリハッカ)がありますが、香りが強くメントールの含有量が多いのがペパーミントです。
薄荷の主成分はメントールですので、ペパーミントの仲間になります。
ミント類は種類が多く見た目ではなかなか見分けられませんが、ハッカは尖った細長い葉の形が多いようです。
対してスペアミントは香りの元となるのがl-カルボンという成分で、穏やかな香りが特徴です。
道端に生えていることもあり、葉をつまんで少しこするだけで爽やかな香りが広がります。
ミントの名前は、ギリシャ神話で冥王ハデスの妻ペルセポネの嫉妬によって草になる呪いをかけられた妖精メンテに由来します。(諸説あります)
草になったメンテは神殿の庭で可憐に咲きながら、「私はここにいます」と芳香を放って伝えているということです。
古くから療法に用いられてきた薄荷
薄荷はミントの中でも和種薄荷に分類され、日本では北海道の北見薄荷が有名ですが、実際に薄荷の商業利用は戦前の日本の生薬から始まっています。
その後、蒸留技術の発達により精油が作られるようになり、薄荷(メントール)は輸出産業として大きく発展します。
日本では精油を利用することが多いようですが、ミントは古代ローマ時代から療法として全草が使われていました。
日本で最初に薄荷の栽培が始まったのは実は岡山県です。
比較的暖かい地方の岡山県に対し、北海道では寒地で育つよう品種改良を行いながら、一時は北海道が薄荷の世界シェア70%という時代もありました。
しかし太平洋戦争に伴う減反によって薄荷栽培は途切れ、現在では主な薄荷の産地はインドが世界シェアの95%を占めています。
そんな薄荷の効能をみて行きましょう。
薄荷、漢方では
薬用植物ではある薄荷は、生薬名でも薄荷と呼ばれます。(または薄荷葉)
性質はこのようになっています。
- 五味:辛
- 五性:涼
- 帰経:肺・肝
中医学の効能は引用でご紹介しますね。
解熱,健胃,鎮痛作用があり,熱性のカゼや頭痛,咽喉痛,ガスが溜まって腹が苦しい症状などに用いる.漢方処方には,加味逍遥散,荊芥連翹湯,防風通聖散などに配合されている.ハチ刺されには生の葉の汁を患部にすり込む.熊本大学薬学部 薬草園 植物データベース https://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/yakusodb/detail/003415.php
漢方薬ではこうした鎮痛作用ほか、表邪を取り去る辛涼解表作用、発疹を促し毒素排出する透疹作用なども利用されています。
お茶としてのはたらきは、すっきりしたメントールの香りに気持ちも爽やかになり、気分転換にはもってこいの素材です。
薄荷の副作用
漢方生薬にも用いられる薄荷は、ハーブティーから料理まで、日常幅広くお使いいただける食品ですので、特に大きな副作用の心配はなく、また、カフェインも含まれておりません。
ですが涼性で体を冷やす性質がありますし、苦みもあります。
これは何でもそうですが、体質に合わない方は無理に口にしない方がよいと思いますので、気になる方は様子を見ながら飲まれるとよいかと思います。
口にするだけでなく、薄荷は防虫効果もあり、ハーブの中では手に入れるのも栽培も容易で、とても身近な薬草です。
ぜひ生活の中に薄荷を積極的に取り入れてくださいな。
先ほどギリシャ神話の話をお伝えしましたが、神話ではミントに変えられたメンテは香りを放つことで自分の存在を伝えているとされていますが、ミントの花言葉は美徳、効能です。
また、ミントは霊的に強い浄化力と魔除の力を持つといわれています。
ギリシャ神話の妖精メンテは、もしかしたらミントの力を使って、神殿を悪いものから護り続けたのかもしれませんね😊
薄荷は菊花同様、体の上部の熱を冷まします。
特に頭や顔のほてり、目元が熱を持ったときなどに用いるとよいでしょう。
薄荷の香りとメントールの効果で、すっきりとリフレッシュします。
気を巡らせる緑茶やジャスミン茶とあわせるのもいいですね。
それでは、今回の素材紹介は『薄荷』についてお届けしました。
次回更新も楽しみにしていてくださいませ。
ありがとうございました。
烏兎