ショウガとシナモンで体に合った温活を
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烏兎の素材紹介コーナー、17弾。今回はとっても身近なスパイスから、ショウガとシナモンをお届けいたします。
手軽に手に入る温活素材。よく知って、上手に取り入れて行けるよう学んでいきましょう。
ショウガとシナモンで体に合った温活を
ショウガとシナモン、どちらもメジャーなスパイスなので、日常的に使っている方も多いかと思います。
体によくはたらく効能や効果についても、すでにご存じの方もおられるかもしれません。
どちらも体を温めてくれますよね。
ところがショウガもシナモンも、漢方のはたらきを見るといずれも細かく分類されています。
今日はその辺りをお伝えしたいと思います。
まずはショウガから。
ショウガのはたらき
ジンジャーティ、ジンジャーエールなどの飲み物から、薬味、生姜焼き、ちょっとした料理の隠し味に使われたり、大活躍のショウガ。
料理が苦手な我が家の台所でさえ、生姜はいつも買い置きされています。
生ショウガ、チューブタイプ、生姜パウダー、乾燥スライスなど、どのおうちにも使いやすいものが何かしらあるのではないでしょうか?
薬膳料理はもとより、漢方でも大活躍で、葛根湯や桂枝湯など、生姜を使った漢方薬もたくさんあります。
さて、そんなショウガですが、漢方名を「生姜(ショウキョウ・生の状態を乾燥させたもの)」と「乾姜(カンキョウ・湯通しまたは蒸してから乾燥させたもの)」と呼び、それぞれはたらきが異なるため、使い分けられています。
生姜(ショウキョウ)と乾姜(カンキョウ)の違い
生姜と乾姜の違いは作る過程で過熱があるかないかの違いですが、この加熱によってショウガの成分が変化し、はたらきが異なっています。
生姜は漢方ではこのようにになります
五味:辛
五性:微温
帰経:肺、脾、胃
※資料によって異なることがあります
※当店でラインナップに加えているハーブは、生姜になります。
一方、乾姜は漢方ではこのようにになります
五味:辛
五性:熱
帰経:心、肺、脾、胃
※資料によって異なることがあります
漢方での使われ方はそれぞれ異なっていますが、お茶として飲むときはざっくりと、生姜は体の表面を温め、乾生は体を中から温めるものと思われるとよいかと思います。
買ってきたショウガを生のまますりおろしてお茶に入れると、体がポカポカしてきて汗が出る感じですよね。
一方、干して乾かしたショウガをお茶に加えると、じんわりお腹の中から温まります。
そんな風に違いを考えるとわかりやすいかと思います。
さっそく、試してみたくなりませんか?😊
シナモンのはたらき
さて、続いてシナモンなのですが、こちらはショウガよりちょっと厄介なスパイスです。
というのも、ひとくくりに「シナモン」と呼ばれている中には、ニッキやカシアといった、種類の違うものがあるためです。
シナモンでイメージするのは、シナモンティーやお菓子に使う、くるくるっと丸まった樹皮ですよね。
もしかしたらシナモンを日本名で呼ぶと「ニッキ」になるのだと思っていた方もおられるのではないでしょうか?
それがねぇ、違うんですよ。さらに漢方では桂枝とか桂皮とか肉桂とか出てきますよね😓
元はすべてクスノキ科ニッケイ属の仲間だしそんな違いなんて問わなくても、という気持ちは置いておいて、それぞれについてお伝えします。
シナモンとニッキとカシアの違い
喫茶店などでシナモンティーを頼むと付いてくる薫り高い枝、こちらは主にカシアシナモン(シナニッケイ)、またはセイロンシナモン(セイロンニッケイ)です。
品質は圧倒的にセイロンシナモンが高く、こちらは英名に「True cinnamon tree」という名前を持つほど。
真実のシナモンと呼ばれ、特に欧州ではセイロンとカシアはきっちり区別されています。
ニッキはニッケイ(肉桂)のことを指し、同じクスノキ科ニッケイ属の常緑樹でありながらセイロンやカシアのように樹皮の香りは弱く、主に根の皮を使います。
ニッキはセイロンやシナモンに比べると辛味が強く、スパイスとして利用されます。
京都銘菓の八つ橋に使われるのはニッキになります。
有名な聖護院八ッ橋総本店さんによると、八ッ橋には桂皮末(粉末にしたニッキ)、生八ッ橋には白さを保つため桂皮油(ニッキの精油)を使っている
そうですよ。
京都で八つ橋、食べたいですね~😊
桂枝と桂皮の違い
漢方で使われる桂枝と桂皮は同じニッケイ(肉桂)の部位が違うものです。
桂枝はニッケイの若枝とその樹皮を、桂皮はニッケイの樹皮を用います。
漢方薬として処方するときは、日本では桂枝も桂皮も区別なく使われていることがあるらしいのですが、厳密には働きがやや異なります。
桂枝は漢方ではこのようにになります
五味:辛
五性:温
帰経:心・肺・膀胱経
※資料によって異なることがあります
一方、桂皮は漢方ではこのようになります
五味:辛・甘
五性:熱
帰経:肝・腎・心・脾
※資料によって異なることがあります
お茶として飲むと、桂皮の方が甘みを強く感じます。
カシアを桂枝とすることもあるそうですが、実際、シナモンティーの味そのものです。
ちなみに当店で使っているのは肉桂の枝(種類は桂枝の方)ですので、シナモンと比べるとやや辛みが強く、スパイシーです。
桂皮と桂枝の違いも、ざっくりとですが生姜と乾姜に似て体の表面を温めるはたらきが強いもの(桂枝)と、体を内部から温めるはたらきが強いもの(桂皮)の違いと覚えておかれると、お茶で飲むときにも使いやすいかもしれませんね。
ショウガとシナモンで手軽な温活を
さて、今日はショウガとシナモンについてお伝えしてきましたが、このふたつは味の相性もとてもよく、また量も少量でよいので寒い季節にはぜひ取り入れたい素材です。
根本的な冷え取りをしたい場合は、シナモンと一度蒸してから干したショウガのお茶を続けて飲むのがお勧めです。
寒気を感じたりすぐに体を温めたい朝などは、すりおろした生姜にニッキを加えて白湯や紅茶などに入れて飲むとよいかもしれませんね。
ハチミツを加えてもよく合いますよ。
ちなみに、生姜のチューブタイプのものは殺菌のための加熱処理が施されていますので、生きた酵素がありません。できるだけ、生のものから使うようにしてもらえたらと思います。
ショウガ、シナモン、飲むときの注意
ここまでショウガとシナモンについてお伝えしてきましたが、体によいといわれている食材も、大切なことはご自身の体に合うかどうかです。
特にシナモンは巡らせる作用も強いため、体に負担がかかることがあります。
また、妊婦さんなどはたまに飲む分にはよいと思いますが、毎日続けて飲むのは避けた方が無難です。
体は温まって元気になるはずがなんだか疲れが増すとか、特に女性の場合は巡りと関係の深い月経血の状態に注意してもらうとよいかと思います。
以上、本日はショウガとシナモンについてお伝えしました。
当店で使っている生姜と肉桂の枝のことも、知ってもらえたら嬉しいと思います。
とてものんびり更新している素材紹介ですが、ぜひ次回も楽しみにお待ちください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
烏兎