緑の血液といわれるクマザサ

2018年12月26日

楽しみにしてくれている方がいるのかわかりませんが、ゆっくり更新している烏兎の素材紹介のコーナー、第12弾は健康茶としてもメジャーな素材、クマ笹を取り上げます。

クマザサとは

クマザサはイネ科の多年生常緑笹で主に日本国内に分布しています。

育て方も比較的容易とのことで、観賞用や庭用として民家の軒先でも見かけることがありますね。

クマ笹、隈笹、熊笹、などいろいろな表記がありますが、正しくはクマザサ、隈笹です。
(そういいながら烏兎では「クマ笹茶」とさせてもらっています)

クマザサは京都にルーツを持ち、多くの品種がある、生まれも育ちも国産の植物ですね。

葉っぱの隈に白い縁取りがあることからこの名前が付いていますが、似た植物が多いために植物品種もさることながら、漢方でも多種入り乱れているところがあります。

ちなみにこの白い縁取りは、冬を越すときの葉枯れです。
なので若葉にはないんですね。

また、クマが食べることからクマ笹(熊笹)と呼ばれるという説もあります。

特に冬眠前のクマは大量のクマ笹を食べるのですが、眠っている間の体内の状態を調えるために必要なのだそうです。

蓼科笹類植物園のクマ笹のページにはこのように書かれています。

熊は、冬になると冬眠しますが、その前に沢山のササを食べ、冬眠に備えます。エサとしては高カロリーのものを好んで食べますが、このときクマ笹もたくさん食べるといわれます。これは、冬眠中は一度も排便を行わないため、腸や血液が老廃物で汚れるのを、クマ笹で解毒し、防ぐためだといわれています。
一般財団法人 蓼科笹類植物園 クマ笹について https://tateshina-sasa.com/about/

ちなみに冬眠から覚めたクマが一番最初に食べるのもこのクマ笹と言われていて、そのくらい解毒作用に優れた植物であることが伝えられています。

そんなクマザサですので、気になるのは効果効能ですよね。
どんな時に飲むのがよいのでしょう?

クマザサの効果効能

クマ笹でちょっとググってみると、クマ笹茶以外にも多くの商品が出てきます。

例えば、クマ笹入浴剤、クマ笹エキス、クマ笹青汁、クマ笹歯磨き粉、クマ笹珪素(ケイ素)、クマ笹焼酎、クマ笹のど飴まで見つかりました。

さらにクマ笹専門の健康食品会社があったり、化粧品会社がクマザサに関連する製品を販売していたり、猫も杓子もクマザサ人気?!といった感じで、びっくりしてしまいました。

クマザサの防腐・殺菌作用

まずは、クマ笹の葉で包んだ食品を見たことはありませんか?

チマキ、笹団子、笹寿司など。
笹寿司では富山のます寿司が有名でしょうか。

これは笹に含まれる安息香酸(あんそくこうさん)が防腐、殺菌作用に優れているからなのですが、だからクマも冬眠前と冬眠明けにたくさん食べるんですね。

安息香酸が胃の中での細菌の増殖を抑えてくれるのですが、人の体に置き換えると、胃の中の菌、そう悪名高いピロリ菌や黄色ブドウ球菌の抑制が期待されています。

そのほか、クマザサは胃にまつわる諸症状の改善にも注目されています。

胃と口腔内はつながりがありますが、殺菌作用に長けていることから歯槽膿漏や歯肉炎、口内炎にもよいとされ、そのため、歯磨き粉でも販売されているのでしょうね。

クマザサの血液浄化・造血・止血作用

先ほど引用させてもらった蓼科笹類植物園によると、クマ笹抽出液に含まれる鉄クロロフィリンは、人間の血液のヘムとほぼ同じ形なのだそうです。

クマ笹が持つ葉緑素は、人間の血液の血色素であるヘム(ヘモグロビンの一部)と、その化学構造式がほとんど同じです。
一般財団法人 蓼科笹類植物園 クマ笹について https://tateshina-sasa.com/about/

これにより血液を浄化し、造血する働きがあるということなのですね。

そのことからクマザサは緑の血液と呼ばれています。

クマも寝ている間に、血液がドロドロにならないようにしているわけですね。

ちなみに本草網目という古い書物によると、クマ笹についてこのように書かれています。

主治…男女の吐血、衄血、嘔血、喀血、下血、いづれも焼いて性を存して温湯で一銭此れを服す。又、小便を通じ、肺氣、喉痺を消す。
ササランド https://sasaland.com/hpgen/HPB/categories/12522.html

アロエのように怪我や火傷にも薬草として用いられるクマザサですが、止血の効果もあるんですね。

なんかすごいな、クマザサ!

クマザサで免疫活性化ができる?

クマザサの成分に「笹多糖体」というものがあるのですが、多糖体は免疫賦活作用(免疫を活発にすること)が伝えられています。

多糖体というと明治プロビオヨーグルトR-1などで有名でしょうか?

免疫力に働きかけることで癌の治療や予防が期待されている成分です。

なるほど、クマ笹で多くの製品が販売されるのもよくわかりますね。

それでは、一般的に伝えられているクマ笹の効能を引用しておきます。

高血圧予防・コレステロール上昇抑制
胃腸病予防・腎臓病予防
糖尿病予防・抗がん剤作用
疲労回復・貧血改善
炎症鎮静・解毒・止血作用
口臭予防・体臭予防
アトピーの改善、老化防止、自律神経系の病気改善
くま笹の特徴と効果・効能 – 健成園 https://www.kenseien.co.jp/kenkou/1252.html

クマザサは便秘にも効果がある?

冬眠前にクマザサをたっぷり食べたクマも、冬眠から明けたら腸内の老廃物を排出しなければなりません。

そのため、わっさわっさとクマ笹を食べるわけで、そのことによりクマ笹が便秘にもよいと考えられています。

確かにクマザサは食物繊維を含みますので、食べることによってお通じがよくなることは考えられますが、クマザサは人が食べる分にはそのままでは消化吸収できませんので、クマ笹茶やエキス抽出液として摂取するようになります。
そうすると、そこまでのものは期待できない気がしてしまいます。

それでもクマザサ茶やクマザサの関連商品によって便秘が改善されたという口コミはみかけましたので、もしかしたら便秘にも効果があるのかもしれません。

それでは、漢方でのクマザサをみてみましょうか。

クマザサ、漢方では

さて、漢方でもクマ笹はいろいろな種類が混同されています。

漢方では淡竹葉(たんちくよう)、竹茹(ちくじょ)、竹葉(ちくよう)などがありますが、文字からもわかるようにこれらは正しくは「竹」なんですよね。「笹」ではなく。(竹も笹もイネ科ですが、似て非なるものです)

ここで取り上げているクマ笹は淡竹葉に分類されますが、このあたり簡潔に書いてある文章を見つけましたので引用しておきます。

イネ科ササクサ(Lophatherum gracile)の全草を淡竹葉という。日本ではイネ科のマダケ(Phynostachys bambusoides)やハチク(P.nigra)の葉を和淡竹葉ということもある。淡竹葉は竹葉としばしば混同され、中国ではハチクの葉は竹葉という。
健康食品辞典 – 淡竹葉 – TANALOG (店ログ)http://tanalog.com/taiseidrug/2013/11/30/1385737223687.html

クマ笹は漢方での五性も、書いていある内容が書物によってまちまちで、このあたり、品種の多さも関係しているのではないかと思われます。

伝統医薬データベース 淡竹葉 生薬学術情報によると淡竹葉はこのように記載されています。

  • 五味:甘、淡
  • 五性:寒
  • 帰経:心、胃、小腸

伝統医薬データベース 淡竹葉 生薬学術情報 http://dentomed.toyama-wakan.net/ja/%E7%94%9F%E8%96%AC%E5%AD%A6%E8%A1%93%E6%83%85%E5%A0%B1/%E6%B7%A1%E7%AB%B9%E8%91%89/SCC000260?w=1

漢方ではクマ笹は特に健胃(胃を健やかに保つこと)にすぐれています。
高い殺菌作用が胃から口の中まで整えてくれるため、口臭にもよく働くとされています。

クマ笹はクセがほとんどなく飲みやすいため、お茶として古くから好まれていたようです。

確かに食後にクマ笹茶が出てきたらちょっと嬉しい気がします。

クマザサの副作用は?

クマザサは食品で特に副作用はありませんが、イネ科ですのでイネアレルギーがある方は気を付けた方がよいかもしれませんね。

また、クマザサにはカフェインは含まれていません。

とはいえ、毎度のご注意ですが、何事も盲信して飲みすぎるのは禁物です。
ご自身の体質に合っているかどうかを確認しながらお飲みくださいね。

クマザサ茶

クマザサがどこにでも生えているので、意外と簡単に自分でも作れてしまうクマザサ茶。

クマザサ茶の作り方は、摘んで洗って干して煎って煮出すという、ほかの植物茶とほとんど同じですので、得意な方は試してみてくださいね!

きっと品種によって味の違いがあると思うんですよ。
同じ葉でも季節によって違いもあると思いますし、品種が多いので、いろいろな種類を試してみるのも楽しいかもしれませんね。

探して摘んで飲んでいるうちに、クマザサ博士になれそうです^^

クマザサ茶の味は?

クマザサ茶はほのかに香るスッとした匂いが漂う、飲みやすく美味しいお茶です。

煮出して入れるともしかしたら少し苦味が出るかもしれませんが、それでも飲みやすいお茶に分類されると思います。

ほのかな甘みもあり、一度飲むと続けて飲む方が多いようです。

ぜひ一度、ご自身で試してみてくださいね。

烏兎の素材紹介、本日はクマザサについてをお届けしました。

最後までお読みくださってありがとうございます!
また次回を楽しみにお待ちください。

烏兎

Posted by Master